源泉徴収票の見方
こんにちは。
前回まで、所得税の求め方をまとめてきました。今回は、所得税の求め方の復習も兼ねて、給与所得の源泉徴収票の見方をまとめます。
給与所得の源泉徴収票とは、会社が税務署と会社員に対して、「1月1日から12月31日までの1年間に、給与や賞与を合計どれだけ支払って、所得税(復興特別所得税含む)としてどれだけ天引き(徴収)したか」を知らせる書類です。
給与所得の源泉徴収票の様式
源泉徴収票は下のようなものです(国税庁のページから引用しました)。毎年1月頃に会社から受取ると思います。
前回までまとめてきた所得税計算の流れは以下の通りです。
所得税計算の流れと源泉徴収票の記載事項との関係を確認するために、源泉徴収票の項目に番号をつけて順に説明していきます。
源泉徴収票において重要な項目は、1~4 の四つです。5~16 は、1~4 のエビデンス(根拠)です。
1 支払金額
給与収入の売り上げにあたる「給与収入」です。
会社が、1月1日から12月31日までの1年間に給与や賞与として支払った金額の合計で、基本給に加えて各種手当や残業代、奨励金なども含まれます。ただし、所得税の対象とならない通勤費や出張旅費は含まれません。
2 給与所得控除後の金額(調整控除後)
給与収入から、経費にあたる「給与所得控除額」を差引いた額で、給与収入における利益(儲け)にあたる「給与所得」です。給与所得控除額は、下のグラフのように、給与収入に応じて決まります。
子育て世帯や介護世帯を対象とした所得金額調整控除の要件を満たす場合は、5 所得金額調整控除額も差引いた額になっています。
収入が給与のみの場合は、この額が「課税標準(総所得金額)」になります。
3 所得控除の額の合計額
所得税を計算するときに、「給与所得」から控除する(差引く)「所得控除」の合計額です。課税対象となる所得を減らすことで、所得税額を減らすことができます。
所得控除は、全部で14種類(配偶者控除と配偶者特別控除を合わせて1種類としました)あります。このうち、会社が把握できる控除と、会社員が年末調整で申告した控除を合わせた計11種類の所得控除の合計額が記載されています。所得控除の項目と対応する源泉徴収票の項目、控除額は以下の通りです。
収入が給与所得だけならば、基礎控除の額が空白の場合、基礎控除の額は48万円です。
② 配偶者(特別)控除:6 配偶者特別控除の額
③ 扶養控除:11 控除対象扶養親族の数
特定は19歳以上23歳未満で63万円
老人は70歳以上で同居(内)は58万円、それ以外は48万円
その他は38万円
④ 障害者控除:12-2 本人が障害者、12-1 障害者の数(本人を除く。)
同居特別障害者(内)は75万円
特別障害者は40万円
一般障害者は27万円
27万円
⑥ ひとり親控除:14 ひとり親
35万円
⑦ 勤労学生控除:15 勤労学生
27万円
給与、賞与で天引き(徴収)された健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険の合計額に、7-1 国民年金保険料等の金額を加えた金額。年末調整で個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金を申告した場合は、上の行に内として記載され、その額も加えた合計額になります。
⑨ 生命保険料控除:8 生命保険料の控除額
⑪ 小規模企業共済燈花会均衡所:7 社会保険料等の金額 の 内(上の行)
⑫ 医療費控除:確定申告によるため源泉徴収票には記載なし
⑬ 雑損控除:確定申告によるため源泉徴収票には記載なし
⑭ 寄付金控除:確定申告またはワンストップ特例制度によるため源泉徴収票には記載なし
4 源泉徴収税額
会社が所得税(復興特別所得税含む)として天引き(徴収)した額です。
収入が給与だけの場合は、この額が「負担すべき取得税額」(天引きで支払った所得税額(復興特別所得税額含む))になります。
年末調整で、住宅ローンなど税額控除の対象となる項目を申告した場合は、16 住宅借入金等特別控除の額 を差引いた額になっています。
今回は、源泉徴収票の見方をまとめました。
将来の投資計画を立案するために、将来、給与額が大きく変わったときに所得税がどれくらいになるのか計算しようとしても簡単ではありません。そこで、次回は、所得税額(源泉徴収票の内容)を簡単に計算できる計算サイトを紹介して、使い方を説明します。